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メス・アイナク遺跡出土品 保存・修復プロジェクト

 アフガニスタン・イスラム共和国のメス・アイナク遺跡は、紀元3世紀から7世紀にかけて栄えた仏教都市です。アレクサンドロス大王の遠征とともに伝播したギリシャ文明の影響も認められ、東西の文化交流を研究する上できわめて重要な遺跡です。しかし、メス・アイナク遺跡周辺には未開発銅鉱床があり大掛りな露天掘りによる採掘が予定されており、遺跡は消滅の危機にあります。

 現在、メス・アイナク遺跡では緊急発掘調査が行われていますが、あまりにも遺跡の規模が大きく、鉱山開発事業開始までに調査を完了することは不可能と判断されています。そこでユネスコは、2016年から3年間にわたって、「メス・アイナク遺跡」の移転を行うことを計画しています。

 移転事業に付随して出土品の緊急保存修復も急務となっています。メス・アイナク遺跡出土品は、カーブルに所在するアフガニスタン国立博物館に運ばれていますが、同博物館での保存修復体制は十分に整っているとはいえない状況にあります。

 このため東京藝術大学ではアフガニスタン国立博物館に移送されたメス・アイナク遺跡出土品の保存修復事業への協力を2016年から開始しました。出土品の損傷状態を調べて修復計画を作成すると同時に、同博物館の修復設備の維持や修復資材の確保にも協力していく予定です。さらに、持続的な保存修復活動を支援するために、同博物館所属の若手修復専門家の人材育成事業も併行しておこなっていきます。

 なお、本事業は公益財団法人住友財団および公益財団法人仏教伝道協会等の助成等を受けて実施しています。

 

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