最終更新: 1月7日


 東京藝術大学社会連携センター(ユーラシア文化交流センター)では、アフガニスタンのメス・アイナク遺跡出土品保存修復事業を実施しています。当ブログではその修復過程を紹介しています。  事業の概要は「ユーラシア文化交流センタープロジェクト」をご覧ください。また、修復作業は木島隆康教授(東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻)の研究室にて行われています。 ====

 本プロジェクトが2月21日付けの讀賣新聞(朝刊)で取り上げられました。  また、アフガニスタンの文化財保護にご尽力されている東京藝術大学客員教授の前田耕作先生が、現在修復が進められているメス・アイナク出土品について、ご寄稿くださいました。

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メス・アイナク仏教遺跡を救おう!!

 メス・アイナク遺跡はアフガニスタンにおけるもっとも重要な古代複合遺跡のひとつであります。ロガール州にあるこの遺跡群の地下に眠る雄大な銅鉱床の開発計画がアフガニスタン政府によって策定され、中国の鉱山開発会社との間に開発契約が交わされ、開発のための準備が押し進められました。開発にともない遺跡の大半が失われることに深い憂慮を抱いた文化遺産保護に携わる多くの関係者が、メディアを通して遺跡の全面破壊の危機を広く世界に報せるとともに、考古学者たちもアフガニスタンだけではなく、国際的な協力をえて、メス・アイナク考古遺跡全体の緊急調査・発掘に着手し、多くの貴重な遺物の国立カーブル博物舘への移転を開始している。  アフガニスタンへの立ち入りを許されない日本の専門家たちも、この文化遺産の緊急を要する救済事業推進の世界の動きに協調して、カーブルに移送された壁画と塑造の修復を東京藝術大学で引き受けることを決意し、美術学部の修復専門家の協力を得ることとなりました。この国際的な救済事業は住友財団の大きな支援をえて目下、東京藝術大学の木島研究室でおこなわれている。2月21日付けの讀賣新聞(朝刊)がこの進行中の作業の内容を伝えてくれています。

 いま東京藝術大学で修復されているのは大きな壁画断片です。この壁画は6つある遺跡のうちゴル・ハミドと呼ばれる方形僧院に描かれた壁画です。この僧院の上段には仏像と奉献者の塑造群があり、その下の腰壁に当たる部分に描かれた供養図の一部がいま修復を受けている壁画片です。仏坐像の通肩の衣文、その左方に立つ供養者の衣文の鮮やかな朱色が印象的である。仏坐像の右方の部分にも壁画は認められるがすでに褪色がすすみ図柄は判別できません。現場にあってこそさらに詳細を知ったり、想定できるのに残念というほかありません。現地調査をおこなった研究者は、この壁画を4世紀ごろのものとしているが、これから顔料の分析や壁画の支持層の分析がすすんでゆけば、アフガニスタンの存在する既知の仏教壁画との比較もまたいっそう進み、製作年代もまた精度をましてくことになりましょう。 ​​

 貴重な壁画資料を多く残すメス・アイナク遺跡の動向にこれからも注視し、少しでも仏教を大切にするわが国が、この遺跡の救済に寄与しつづけることができればと願っています。みなさんの熱いまなざしとご協力なくしてはこの事業を継続することはできません。  アフガニスタン・バーミヤン遺跡の青の弥勒菩薩再生プロジェクトも、今年の東京藝術大学の大きなこころみの一つです。ご期待ください。未来は青色とともに、です。

※「アフガニスタン・バーミヤン遺跡の青の弥勒菩薩再生プロジェクト」については別途お知らせいたします。

#メスアイナク

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最終更新: 1月7日


 東京藝術大学社会連携センター(ユーラシア文化交流センター)では、アフガニスタンのメス・アイナク遺跡出土品保存修復事業を行っています。当ブログではその修復過程を紹介しています。

 事業の概要は「ユーラシア文化交流センタープロジェクト」をご覧ください。また、修復作業は木島隆康教授 (東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻)の研究室にて行われています。

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 破壊の危機に瀕した壁画は、安全な場所に移築するために、アクリル樹脂で強化され、さらに壁画面を保護するために和紙とガーゼが貼られていたました。しかしながら、火急的処置の状態がかなり悪く、土壁と顔料の接着力に比べ、和紙と顔料の間の接着力が強く、顔料が和紙に付いて剥がれてしまいます。

 これをいかにオリジナルに近づけ、鑑賞可能な状態にまで修復するか、大きなチャレンジとなります。

 何度も樹脂の溶解テストを繰り返したうえで、表面を覆っていたガーゼと和紙をはがしていくと、仏教説話の一画面と思われる画像が明らかになってきました。人物像に胸のふくらみが描かれるなど、あまり類を見ない珍しい作品です。メス・アイナクの壁画は、供養する人と仏・菩薩の構成が興味深く、主題の解明が待たれます。

 壁画の脆弱箇所の補強では、盗掘されたアフガニスタンから海外に流出した文化財の修復経験をもとにテストを重ね、ガラスマイクロバルーンとアクリルエマルション樹脂などを混ぜた補修剤を作り使用することになりました(白い部分)。一つ一つの作業について、ベストな方法の模索が続いています。

#メスアイナク

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最終更新: 1月7日


 東京藝術大学社会連携センター(ユーラシア文化交流センター)では、アフガニスタンのメス・アイナク遺跡出土品保存修復事業を実施しています。当ブログではその修復過程を紹介しています。

 事業の概要は「ユーラシア文化交流センタープロジェクト」をご覧ください。また、修復作業は木島隆康教授(東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻)の研究室にて行われています。

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 2017年12月、アフガニスタン国立博物館の修復専門家2名が来日し、修復を行う壁画1点と塑像頭部2点について、調査のための撮影が行われました。

 修復前の壁画(長さ118.00㎝)と塑像頭部(上:高さ18.10cm、下:高さ17.30cm) 

 高精細デジタルカメラで、肉眼では見えないような細部にいたるまで撮影します。

 赤外線カメラでは下書きの線など、紫外線カメラでは補修に使われている接着剤などを撮影することができます。また、これらの写真から絵具の材料の推定も行われます。

 写真は紫外線カメラで撮影した画像。塑像の写真には、応急処置で使用したと思われる接着剤が見られました。

 さらに、蛍光X線分析装置によって、顔料の元素を化学分析し、これらの情報から総合的に作品の状態を把握していきます。

#メスアイナク

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