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東京藝術大学社会連携センター(ユーラシア文化交流センター)では、アフガニスタンのメス・アイナク遺跡出土品保存修復事業を実施しています。当ブログではその修復過程を紹介しています。
事業の概要は「ユーラシア文化交流センタープロジェクト」をご覧ください。また、修復作業は東京藝術大学文化財保存修復センター準備室にて行われています。
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アフガニスタン博物館から運ばれたメス・アイナク遺跡出土の壁画2点の修復が進められています。
小さいほうの壁画を覆っていた保護材がすべて取り除かれ、ようやく全貌を見ることができました。残念ながら損傷が著しく、絵柄はほとんど残っていませんでした。ただ、中央の欠損部分上部にうっすらと仏様のような図像をみとめられ、かつての姿が偲ばれます。


壁画は修復前、修復中、修復後に写真撮影を行います。
修復前の状態を伝えるために、各過程で撮影し記録を残すことはとても重要だそうです。
また、赤外線や紫外線カメラでも撮影を行いましたが、今回はあまり情報を得ることができませんでした。

壁画の背面はもともとエポキシ樹脂で固められ、アルミバーで固定されています。今後は表面を保護し、額装して、修復を完了します。
額装のため、ロハセルという軽くて強く加工しやすい素材が用意されました。これは新幹線のボディにも使われるほどの強度があり、なおかつ軽くて加工しやすいため、壁画のような重いもののマウントには最適です。
これを加工して、土台となるマウントを作成します。さらに壁画と色をあわせるため、白いロハセルに土の色をのせてゆきます。

※ロハセルを加工してマウント作成中
この作業が完了したら、今度は、大きな方の壁画にとりかかります。
実は、こちらはまだ裏返されたままの状態です。背面が固定されていないため、どうしたら壁画を損傷させずにひっくり返せるか、方法を考えなくてはなりません。
また、事前にアフガニスタン国立博物館から提供された資料も、裏面のみで、表がどのような状態になっているかわかりません。
3月に、アフガニスタン国立博物館から修復の専門家が来日します。この先の作業は、彼らとともに進めていく予定です。
さて、どんな絵が現れるでしょうか。それともやはり損傷してしまっているでしょうか。
なかなか楽しくなってまいりました。